RSSTUDIO(アールエススタジオ)は建築設計と建築映像制作(竣工写真/動画)を同時に行っています。
わたくしは建築を設計することと、建築されたものを映像として記録することは(技術的な問題を除けば)本質的に同じ創造行為として捉えています。
それはわたくしにとって「空間や現象を解釈しそれをカタチとして定着すること」に変わりなく、それぞれに純粋に建築と対峙する手段と言えます。
異なるのはそれぞれの行為が向き合う時間軸だけだと考えています。
『建築設計』は空っぽの更地から始まり、施主の思いや場所としての魅力を解釈発見し、未だ見ぬ空間の未来へと繋がる時間軸です。(=未来へ向かう時間)
一方、『建築映像制作』はすでにそこにある現象を前に、その成り立ちを解釈し、折り重なった時間を遡るような時間軸です。(=過去へ向かう時間)
ふたつの異なる時間軸。
わたくしという存在が「建築」という世界に向き合うとき、このように未来へ向かう時間と過去へ向かう時間による不断の相互補完的な共犯関係が純粋な創造性を充填してくれるのです。
「無為に耽る家」
設計:RSSTUDIO 映像:RSSTUDIO
建築設計
私の中にすでにある空間イメージや予測可能な空間経験には全く関心がありません。
建築における表現とは、自身の内面性の発露によって生まれるものではなく、客観的な存在、例えばクライアントの嗜好や、建築が建つ敷地の環境的文化的属性、それらを真摯に解釈し拡張することによって誕生し成長するものであると考えます。
何もないところから、夥しい対話の中で空間のイメージや思考が徐々に、導かれるように醸成されていく時間そのものに関心があります。その課程により、プロジェクト毎に「宿命」とも呼べるような「デザインの指針」が導かれます。
「指針」が明晰である一本筋の通った建築には、豊かな空間、豊かな時間が宿ると信じています。



建築写真
目に映る風景を直接的、直感的に捉えることと、それが成り立つ背景や積み重なった時間を遡るように捉えること。
その両方の視点が重要であると考えます。
正しく解釈され記録された写真には、さらにレタッチによって適切な世界観を補完します。
その建築ごとに最適な色調、コントラスト、肌理が必ずあります。
建築を設計する視座があるからこそ可能な、建築の記録というものを追求しています。

建築動画
動画による記録は、写真による記録では見る人の想像力によって補完されていた「そこに流れる時間・風景」をより具体的に伝達できる媒体であると考えます。
それぞれの良さがあり、まるごと写真に取って代わる存在ではないですが、動画があることでより切実に空間や時間を表現できます。
また動画は、3分〜5分程度の編集(カット割り、グレーディング)が成されます。
編集は架空の世界観を他者に押しつけるためではなく、すでにそこにある世界観をより正しく、美しく伝えるためのひとつの手法です。
撮影は広角・標準・望遠のレンズを適所適材に使用し、必要に応じてドローンによる空撮も行います。
「道後hakuro」
設計:CHIASMA FACTORY 映像:RSSTUDIO
